育毛剤の使い方

薄毛に悩む人ならまず最初に思いつく対処法と言えば、育毛剤があるのではないでしょうか?

そこで育毛剤の選び方、使い方について紹介します。

 

育毛剤の種類

育毛剤には市販のものでもたくさんありますが、そこに含まれている成分にはこのようなものがあります。

 

末梢血管拡張剤(頭皮の血流を改善する)

センブリエキス、塩化カルプロニウム、チクセツニンジンチンキ、ビタミンE誘導体など

 

毛母細胞活性化剤・毛髪代謝活性化剤(毛母細胞へのエネルギー供給など)

ニコチン酸アミド、ペンタデカン酸グリセリド、パントテニールエチルエーテル、サイトプリン、アデノシン

 

これ以外にも、抗フケ剤(皮脂の分泌を抑える)、殺菌剤(頭皮の雑菌の繁殖を抑える)、保湿剤、栄養補給剤などなど。

でもどれを選んでいいか分かりませんよね。そこで思い切って選別しますと、現代医療において、髪の毛を太くし、発毛させるのに重要なポイントとなるのは2つ。①毛母細胞の活性化と、②頭皮の血流改善、です。実際、効果が高いとされている育毛剤は、この2つのうちいずれかの作用を持っているとされています。

例えば、

リアップはミノキシジルを有効成分とする育毛剤ですが、その作用は頭皮の血流の改善、毛母細胞への栄養供給でした。

ライオンのイノベートと言う育毛剤も定評がありますが、主成分はサイトプリン、ペンタデカン酸グリセリドの2つ。サイトプリンは毛根の細胞を活性化し、ペンタデカン酸グリセリドは髪の毛の生成に使われるエネルギー供給に関わるとされています。

資生堂のアデノゲン。美容院で勧められることもある確かな育毛剤ですが、今主成分はアデノシンと言うもの。この作用は、発毛促進因子FGF-7を産生し、毛母細胞を活性化するとの事。

最後に第一三共ヘルスケアの大ヒット商品、カロヤンガッシュ。こちらの主成分は塩化カルプロニウムですが、今作用は頭皮の血流を改善するというものです。

先ほどの類型で言うと、リアップとイノベート、アデノゲンは毛母細胞の活性化作用、カロヤンガッシュは頭皮の血流改善に主眼を置いたものと言えます。

 

どの育毛剤を選ぶべきか?

カンタンに分かる方法があります。

毛母細胞活性化タイプが合う人

  • 全体的に頭皮が脂っぽい人。
  • ある時期から髪の毛が細く、短くなり始め、そのせいでボリュームが減ったと感じる人。

 

血流改善タイプが合う人

  • 先ほどとは逆に頭髪が産毛のように細く短くなったりはしていない人
  • 寒くなると手足が冷える人
  • やせ型、胃腸が弱い、肩こりや目の疲れが出やすい人
  • ある時期から急に髪の毛の本数が減ってきたような人

 

育毛剤の使い方

「最低6か月は使う」というのは育毛剤の使い方の基本です。

先ほど大雑把に育毛剤を大別し、それぞれに向いたタイプを定義しましたが、実際は使ってみないことには分からないこともたくさんあります。

とは言え、使ってみて「何となく向いてない気がする・・」と毎月とっかえひっかえしているようではいつまでたっても自分に適した育毛剤は見つかりません。

髪の毛の成長は遅いです。1日で0.3mmしか伸びません。育毛剤の働きは、毛母細胞に働きかけて丈夫な髪の毛の生成を促したり、血流改善で栄養を供給して太い毛を育てたりするものですが、育毛剤を使ったからと言って1日1cm伸びるようになるわけではありません。

どのくらいの期間を待てばいいのか?一つの目安は3か月~6か月です。市販の育毛剤の説明書にも6か月を目安としてほしい旨書いてあると思います。

使っている側としてはいつまでたっても増毛している実感がないと、「生えていないのではないか?」と疑い始め、別のものを試したくなるものですが、そこは少々腰を据えて使う必要があります。

実際、3か月ほど使ってようやく、「効いている気がする」と実感が出てきて、そのまま順調に推移して6か月後くらいに目で見て分かるくらいの効果が表れるケースも多いです。

 

使い方の注意

まず、市販の育毛剤を使う時に重要なのは説明書通りに使う事。ネットにある怪しげな情報に基づいて自分勝手なアレンジを加えたりしないことです。

その使い方にたどり着くまでには各製薬会社の科学的な検証を経ていて、それが最も確実に毛を生やす方法だと特定されているものです。まずは製薬会社を信じてみましょう。

また、これが重要ですが、洗髪後毛穴がきれいになった状態で使う事。育毛剤の成分は頭皮から吸収されますが、特に毛穴から吸収されるものです。普段の毛穴は、特にAGAの人は脂で詰まっていたりと、育毛剤が吸収されにくい状態になっていることが多いです。もちろん洗髪後十分に頭皮を拭いて乾燥した状態で育毛剤を使ってください。

ただし、1日2回つけるタイプだからと言って1日に2回洗髪する必要はありません。逆に頭皮にとっては過酷な状況を作ってしまい、余計に発毛にとって悪い環境が出来上がってしまう恐れがありますので。ただ、2回のうち1回は洗髪後につけるようにしてください。

 

 

参考文献

講談社「薄毛・抜け毛を直す」 小林一広、脇坂長興、武田克之著

プロハゲ 薄毛・AGA治療病院ナビ

薄毛と睡眠・食事、喫煙・ストレスの関係

薄毛の原因は遺伝だけではなく、生活状態や食生活にもあります。

睡眠と薄毛の関係

あるAGA病院の調べでは、薄毛に悩む人は睡眠不足の傾向があるそうで、毎日の睡眠が5時間を切ると脱毛などの症状が悪化するそうです。

睡眠がとれなくともその分食生活を改善できれば良いのですが、実際は、夜遅くまで働き、朝も出勤ギリギリまで寝ていて朝ご飯を取る暇もなく、忙しくて外食やコンビニ弁当で済ます妙に営業のバランスも崩れていたりするケースが多いです。

中には、SEの方やコンサルティング会社の人で、得意先に常駐して夜昼なく働き、生活リズムが大きく乱れているようなケースでは、頭髪にいい影響があろうはずがありません。

睡眠不足は頭皮の血流を悪化させます。また毛根にある毛母細胞の増殖が最も活性化するのは午後9時ごろで、髪の毛が成長するのは午後10時から午前2時の間とも言われています。

ですので、できれば薄毛に悩む人はこの時間帯は体を休めるようにし、できれば最低6~8時間の睡眠時間は確保するようにしてください。

とは言え、睡眠時間を確保するのは難しいという人もいるでしょう。そうした人は、せめて食事だけでもバランスよく摂るようにしてください。

特に毛を作るための栄養素であるたんぱく質をしっかり取り、栄養バランスに気を付けた食事が必要です。タンパク質が重要!だからといて肉ばかり食べては不健康です。魚介類や豆類、牛乳など色々な食品から採ることが重要です。

もちろん、細かい話になって、野菜は30種類以上取ってくださいとか、緑黄色野菜は100g以上取ってくださいといったことを言われても取れない人が多いでしょうが、少なくとも、コンビニ弁当でも副菜としてほうれんそうのお浸しを必ずつけるだけでもビタミンやミネラルを補給するのに役立つそうです。

とは言え、中々食生活改善を継続することは簡単ではありません。そんな時に便利なのがサプリメントです。市販のサプリメントは近所のドラッグストアに行けば色々なものが手に入ります。もちろんAmazonなどネット通販でも手に入ります。その種類にはビタミンやミネラルなど無数に上りますが、特に摂取に気を付けるべきものは次の通りです。

ビタミンでは、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ビオチン、葉酸。ミネラルでは、亜鉛、鉄、銅、マグネシウム。特に亜鉛は薄毛の人に人気ですね。

睡眠時間と食生活だけでなく、喫煙も薄毛に関係する生活習慣ですね。もちろん禁煙できればベストです。喫煙は末梢の血管を収縮させるので、ミノキシジルとは反対に、血流を減らし、毛根への栄養や酸素が足りなくなる恐れがあります。

きっぱりやめることが無理でも、医師によれば、1日5本以内に抑えて欲しい所だそうです。

私も喫煙者なのでこれが難しいことも分かります。「本当に禁煙すれば生えるのか?」と疑問にも思うでしょう。しかしこの大手AGA病院の医師によれば、実際禁煙により薄毛が改善した例があるとの事。

バカにできませんね。

 

それ以外では、過度のストレスも薄毛につながります。ストレスは自室神経のバランスを崩すので血管が収縮し喫煙と同じように頭皮に悪影響を与える恐れがあります。

とは言え、ストレスを減らせというのは非常に難しいでしょう。仕事や人間関係に直結しているケースも少なくないと思われます。その場合は、ストレスをためないことよりも、ストレスを解放するための趣味を見つけることをおすすめします。

 

 

参考文献

講談社「薄毛・抜け毛を直す」 小林一広、脇坂長興、武田克之著

病院で薄毛・AGAを治療するメリット

薄毛の治療で重要な要素に心のケアがあります。実際、病院によっては精神科、心療内科の医師がついてAGA/薄毛治療のチームにアドバイスを与える所もあります。

コレには薄毛特有の問題があります。

 

薄毛の悩みを理解してもらえない。

薄毛は放っておいてもそれによって死ぬことはありません。そのことをもって薄毛やAGAを病気ではないとする考えが一般的です。それゆえ、髪の毛がある人にしてみたら、それほど深刻な悩みと理解してもらえません。

それどころか、薄毛を笑いの種にするような風潮もあります。学校や職場の同僚から、会うたびに髪が薄くなったと笑いながら話しかけられる。本人も真面目な顔をして言い返すのも恥ずかしいので笑いながら受け流す。そんなことがあるのではないでしょうか。

薄毛は人の見た目に直接影響する症状です。それだけに恥かしさにつながって、人前に出たくなくなって、外出したくなくなったり、人に会いたくなくなったりすることもあります。

しかし、その苦しみ、悩みを理解してもらえません。それどころか、からかわれたりもします。余計に傷ついて悩みが深まります。

相談する人がいないので1人で悩みを抱え込むようになります。

色々な育毛剤を使っても効果が表れないので、薄毛克服はムリなのか、と絶望的な気持ちになります。

どんどん悩みが深くなってしまうのです。

 

薄毛で必要以上に自分を卑下する

「こんな頭で人に会いたくない」、「みんなが僕を見て笑っている」、と思っているけれど、実は周りはそれほど気にしていないことは少なくありません。客観的に見れば、髪の毛がそれほど薄くはないのに、「自分が持てないのは髪が薄いせいだ」と必要以上に症状を深刻にとらえる人もいます。

そうなってしまうと、例え周りの人に「それほど薄くないよ」、「気にしすぎだよ」、「自意識過剰なのではないか」、何を言われても気が休まることはありません。「気を使われている」と思って余計に症状を深刻に考えだす場合もあります。

こうした薄毛の悩みが深まると色々と支障をきたします。夜寝られない、寝不足で仕事でミスをする、勉強が手につかない、ひどくなると先ほど言ったように、外出ができない、人に会うのが億劫になる、ふさぎ込むといったうつ症状になる人もいます。

明らかに、その人にとって支障をきたす症状なのですから、薄毛は治療すべき病気なのです。

 

薄毛に対するAGA治療と心のケア

大きく2つのケースがあります。まずは、実は症状はそれほど進んでいないが、本人が異常に気にしているケース。もう一つは薄毛・AGAの症状が進行し、それゆえ不安やうつ気分を強めているケースです。

 

薄毛症状以上に本人が強く悩んでいるケース

薄毛が気になって勉強が手につかない、仕事に身が入らない、といった人に、「あなたの症状は全く問題がありません。気にしないでください」と言っても気が楽にはなりません。

そこで、ミノキシジルの外用薬を使うなどして最小限のAGA治療を行う事があります。その結果、3カ月~半年して産毛が生えてきたりすると本人も体の変化を感じて、急に前向きになることがあります。自信を強めて、晴れ晴れとした気分になります。

 

薄毛から自信を無くしているケースのAGA治療

最初のケースとは違い、本当に薄毛・AGAの症状が進行しており、それゆえ、自信を無くし”うつ傾向”を強めているケースでも、もちろんできる限りの薄毛治療を行います。

ベースとなるのはAGA治療薬を使った薬物治療。フィナステリド、ミノキシジルといったAGA治療薬の治療や、タンパク質・亜鉛等サプリメントを組みわせた治療を行います。

フィナステリドやミノキシジルを使ったAGA治療の効果は8割以上と、非常に高い効果を発揮します。

多くの薄毛に悩む患者は、薄毛は治らない、でもその現実を受け入れられない、というジレンマに苦しむわけですが、フィナステリドやミノキシジルと言ったAGA治療薬の効果を話すと、これだけで気が楽になる患者も少なくありません。

結果として症状が改善されて、本人も発毛や増毛を実感できると、気分が前向きになり性格も明るくなって来るケースが多いそうです。

もちろん、薄毛治療を勧めれば抑うつ傾向がおさまる場合だけではありません。そうした場合では、うつ症状に対し薬物治療を適切に組み合わせることもあります。

 

このように、薄毛の治療には、薄毛自体の治療だけでなく、心のケアもしてくれる病院は実は一般病院ではあまり見られないのが実情です。

ですので、できれば専門の薄毛治療病院、AGAクリニックで診てもらう事をおすすめします。

 

参考文献

講談社「薄毛・抜け毛を直す」 小林一広、脇坂長興、武田克之著

女性の薄毛治療

薄毛の悩みは男性だけのものではありません。ある大手の薄毛治療病院では女性の占める割合が2割弱に達しています。

これは、男性が年を取ると薄毛は老化現象だからしょうがないとあきらめる人が多いのに対し、女性の場合はいくつになっても薄毛に抵抗があり、非常に大きなストレスとして受け取る傾向があるという女性心理と関係があります。

女性の薄毛になる人には2つのタイプがあります。1つは40代、50代を中心とする更年期周辺の年代です。加齢のみならず、閉経前後で女性ホルモンバランスが崩れることが影響していると考えられています。

もう一つは20歳代を始めとする若い世代です。このグループは、仕事でのストレス度合いが高く、食事の不規則、栄養バランスも崩れがちで、睡眠不足も高い割合で見られます。そうした生活全体の乱れからくる薄毛は少なくありません。もちろん、他の病気からくる、例えば甲状腺疾患による薄毛症状も見られます。

ここで実例を見てみましょう。

40歳代の女性Kさんの場合。

この方は家を留守にしがちな夫と高校生の子供のいる主婦です。病院に行った時には、頭頂部全体で地肌が透けて見えるほど薄毛が進行していて、まだ40歳代だったこともあって、かなり苦しんでおられました。本人は買い物で出かけるのも嫌、友達にも会いたくない、家にから一歩も出たくない、何もする気が起きない、というほど思い悩んでいました。

かつらも持っていましたが、使っていても、何か人を欺いているというような後ろめたさがあって、それほど積極的に使っていませんでした。

薄毛治療はミノキシジルと言う発毛を促す薬の使用から開始しました。半年ほど使うと、本人も発毛効果を実感し始め、「非常に良いです!」という前向きな言葉が本人から聞かれるようになりました。

その後も経過は順調で今も薄毛治療を継続していますが、薄毛が解消されたことで非常にポジティブになられています。気分が晴れ晴れとして、外出もおっくうでなくなり、友人ともたまにお出かけするようになりました。

 

更年期女性の薄毛原因

女性が40~50代と言う年代になると、女性ホルモンの急激な減少などホルモンバランスの乱れが顕著に起こってきます。それにより心身ともに大きな変化が引き起こされます。

女性ホルモンのエストロゲンは髪の毛の成長に深く関与しています。髪の毛の成長を促し、頭皮のコラーゲン量を増やして髪にハリやコシを与え、頭皮の血流を増加させることでヘアサイクルの成長期を延長させるとも言われています。

こうした女性ホルモンが更年期に減少すると、頭頂部付近で薄毛が進行するのが典型例です。

こうした更年期女性の薄毛治療は、治療が進むにつれ、髪の毛以外の事、家族の事や夫との夫婦関係、腰が痛いといった体の変調と、多岐にわたっていくことが多いようです。

年齢的にもちょうどライフステージが変わるころでもあり、女性ホルモンの影響もあって、心身両面で問題が表面化してきやすい年齢なのかもしれません。

 

治療は発毛促進

頭頂部や前頭部の髪の毛のボリュームが減ってくると、例えば前髪をアップするような髪形のセットが難しくなります。おかしいなと感じた頃には、前頭部以外の部分でも薄毛が進行し、地肌が透けている箇所も増えています。それで、「私の体に大変なことが起きている」と思い悩んで病院に行く人が多いです。

 

ミノキシジルによる治療

女性への治療では、発毛を促すためにミノキシジルを使うのが標準的です。また、その人の生活状況に合わせてサプリメントを追加するケースも多いです。

また、元々更年期で女性ホルモンが減少することが原因なので、女性ホルモンのような働きをすると言われているスピロノラクトンと言う利尿剤を使う事もあります。

また、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンを多く含む食事を積極的に進めたりもします。

 

 

参考文献

講談社「薄毛・抜け毛を直す」 小林一広、脇坂長興、武田克之著

AGA治療薬、フィナステリドの効果

薄毛が目立ち始める年代は人によって違いますが、AGAの大きな特徴はいったん症状が発症すると、それが年月とともに進行し止まることはないという点です。ですから、AGAの対処としていかに進行を食い止めるかというディフェンスの視点がAGA治療では重要になり、その点で最も重要なAGA治療薬がフィナステリドになります。

ここで実際の患者の例を挙げてフィナステリドの効果を見てみます。

Pさんは20代の営業職の男性会社員です。タバコもお酒も口にしませんが、20歳をすぎる頃から頭頂部が薄くなっているような気がしていました。最初はフケや頭皮に以上は感じませんでしたが、しばらくすると頭皮が痒くなり、散髪屋さんで毛穴の周囲に赤い発疹ができていると指摘されました。いわゆる毛嚢炎です。また、頭皮が脂性になっていました。

その後も頭頂部から前頭部、生え際と薄毛が拡大していき強いストレスを感じるようになり、そのせいで人前に出るのが怖くなり休職していたこともあります。髪に良いと言われる 市販のシャンプー、育毛剤、サプリメントなどいろいろ試しましたが、その効果に満足することはありませんでした。

病院に行ったところ、診断は男性型脱毛症(AGA)で、ハミルトン・ノーウッド分類の5と診断されました。かなり進行している症状です。そこで、AGA治療薬として、飲み薬と塗り薬、それにサプリメントを組み合わせました。1ヶ月後にはDNA検査の結果が出てフィナステリドの効果が出にくいタイプとわかったため、フィナステリドを増量しました。3ヶ月目には本人も発毛を実感し始めてかなり治療に前向きになっていました。その後も経過は順調でさらに明るい雰囲気になり、本人の満足度も非常に高い状態です。

 

この患者さんは非常によく効いた例に見えるかもしれませんが、実はよくある典型的な症例です。

 

それではこのフィナステリドはどのようにAGAの進行を食い止めるのでしょうか?と、その前にまず、人の毛髪の仕組みについて説明しましょう。

ヘアサイクルとは?

人間には頭部だけで10万本の髪の毛が生えていると言われています。一本一本の髪の毛は毛母細胞の分裂により伸び続けます。この期間を成長期と呼びます。髪の毛の成長期の長さは一般に2〜8年と言われています。この成長期を終えると髪は約2週間の退行期を経て、約3ヶ月かな休止します。この期間をそのまま休止期と呼びます。この旧式を終えると再び毛根の毛母細胞が分裂を始め成長期に移行します。

このように人間の毛髪は成長期、退行期、休止期を繰り返しています。

ここで脱線。通常頭髪の約1割は休止期に入っていると言われています。10万本の1割ですから1万本が3ヶ月の休止期の間に抜け落ちている、ということになります。なので平均すると1日に百本程度の髪の毛が抜けていることになります。よく抜け毛が増えた、と心配している人がいますが、実は100本程度の抜け毛は正常なヘアサイクルにすぎないということがお分かりいただけるかと思います。

 

AGAのメカニズム

ヘアサイクルの成長期が短縮し、太く硬い毛が、細く短い毛に置き換わっていくことで始まります。

普通なら5〜6年成長し続ける毛髪が1年くらいの成長期を経て抜けてしまうようになり、結果として毛髪が太く長く育たないのです。そうして萎縮した毛根から生まれた毛はまた太く長い毛を生やさないようになり、頭髪にはうぶ毛のような毛ばかりになっていきます。毛穴の中にはもう毛を生やさなくなるものも出てきて、薄毛は一層進行してきます。

こうしたAGAのメカニズムで重要な役割を果たしているのがジヒドロテストロンです。

ジヒドロテストステロンは男性ホルモンのテストステロンが5α-リダクターゼと言う還元酵素によって作られる体内の物質です。これが毛乳頭を委縮させ、毛母細胞の増殖が抑えられます。そのため、先ほどの硬い毛の軟毛化、つまり髪の毛の毛が太くかたく育つ前に抜けてしまい、細く短い毛が多くなるという症状が進み、薄毛が目立ってきます。これが男性型脱毛症の原因です。

 

フィナステリドの働き

AGAの原因物質であるジヒドロテストステロンを作る酵素5α-リダクターゼには2種類のタイプがあります。Ⅰ型と呼ばれるものは前身の皮脂腺に広く存在しますが、Ⅱ型は前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞、毛母細胞と前立腺にだけ分布しています。

この2型の5α-リダクターゼと言う還元酵素の働きが強くなることで、つむじの辺りの頭頂部や前頭部の毛乳頭や毛母細胞に関わるジヒドロテストステロンが増え、AGA症状が進むことになります。

フィナステリドはこの2型の5α-リダクターゼのみをブロックし、その働きを抑える作用を持っています。そうすることで、前頭部や頭頂部の硬毛の軟毛化を促進するジヒドロテストステロンの増加を防ぎ、AGAによる薄毛、脱毛の進行を食い止めます。

このフィナステリドの効果は絶大で、3~6か月使用すると、脱毛や薄毛の進行が抑えられ、確かに抜け毛が減ったと実感する人が多いことは臨床試験でも確認されています。AGA治療の標準薬と言われるゆえんです。

ある有名な大手AGAクリニックでも70~80%の患者に薬の効果を確認できるとしていました。

ただ、これはあくまで医師から見た効果であって、患者の満足度とは別の尺度です。実際、患者さんは中学生や高校生の頃の髪のボリュームを取り戻したいといったイメージを持っているので、医師から見た臨床効果と比べると満足度が低くなる傾向があります。

 

参考:AGA・薄毛は遺伝するか?

父親が禿げているとハゲる?

よく「父が剥げているので私は必ず禿げる!」とか、「母方の祖父が剥げているので私も将来禿げる」といった会話が良くありますが、禿げは流行遺伝するのでしょうか?

結論から言うと、薄毛やAGAには遺伝的な素養と言うものが関係していることが分かってきています。例えば、5α-リダクターゼと言う酵素の体内での分布は遺伝の影響があることが分かっています。また男性ホルモンに対する感受性は母方の遺伝子の影響を強く受けることも分かっています。

前回説明したように、還元酵素5α-リダクターゼの働きでジヒドロテストステロンと言う体内物質が増えることから男性型脱毛症(AGA)は進行します。この5α-リダクターゼの頭部での分布は、その人がどのようなパターンで脱毛していくかという事に強く関係していて、この分布が両親からの遺伝子の影響を強く受けています。

例えば、父親が薄毛の場合、その人が剥げてきた場合、同じような禿げ方になることがあります。父親が両サイトのそり込部分が食い込んでいくように禿げるM字型に属する場合、その子供もM字ハゲになる可能性があります。

男性ホルモンに対する感受性は、母親の父親、つまり母方のソフトの遺伝的な関連の可能性が考えられてます。昔からハゲは隔世遺伝(祖父母からの遺伝)という説がありますが、これも単なる迷信とは言い切れなさそうなのです。

ただし、父親や母方の祖父が薄毛だったからと言って、必ずしもその人が禿げるかどうかは分かりません。薄毛、抜け毛には様々な要因が絡み合っていますので、いたずらに悲観するのは正しい態度とは言えません。

 

遺伝子診断

こうした遺伝的な関係という観点を使って、AGA治療でのフィナステリドの効果をあらかじめ予測することができます。それが遺伝子診断です。

実際の診療の現場では、同じようにフィナステリドを使っても、より有効に作用する人と、どちらかと言うと聞きにくいタイプの人がいることが分かります。

それは、男性ホルモンに対する感受性に関係していて、男性ホルモン受容体遺伝子のDNA検査をすることによって調べられるようになりました。そのおかげで、適切なフィナステリドの投与量を決められるようになりました。

AGAの原因物質であるジヒドロテストステロンは、男性ホルモンのテストステロンが5α-リダクターゼの働きにより変換させられたものですが、テストステロンよりも強力な男性ホルモンの一種です。とは言え、他人によっては全く反応しない人もおり、ジヒドロテストステロンにどれだけ敏感に反応するから、遺伝的に決定されていると考えられています。

少量のジヒドロテストステロンでも反応する人には、フィナステリドは少量で、ジヒドロテストステロンに反応しにくい人には、増量して5α-リダクターゼの働きをしっかりブロックすることで、AGA症状の抑制を効果的に行うことができます。

遺伝子検査を少々詳しく見てみます。

この遺伝子検査で調べるのは、男性ホルモン受容体遺伝子の6つのエクソンのうち第1エクソンです。

男性ホルモンは身体の中で様々な役割を持っていますが、その働きは受容体と結合することで初めて発揮されます。

その受容体の設計図に当たるのが男性ホルモン受容体遺伝子と呼ばれるもの。男性ホルモン受容体遺伝子の中で、シトシン―アデニン―グアニンとグアニン―グアニン―シトシンと言う塩基配列の繰り返し回数の合計が40回以下の人は男性ホルモンに対する感受性が高く、少量のフィナステリドでも薄毛の進行を抑えられることが今は分かっています。

 

参考文献

講談社「薄毛・抜け毛を直す」 小林一広、脇坂長興、武田克之著

最新薄毛病院治療情報ナビ AGA治療

薄毛治療の今

薄毛のメカニズムが解明されるにつれ、医療現場でも薄毛治療をするという意識が高まってきました。

実際今までも40代、50代の人を中心とした壮年期の人たちが薄毛(AGA)に数多く悩んできたわけですが、今では20、30代といった若い世代や、女性までもが薄毛治療にかかるようになっています。

実際、ある薄毛・AGA治療クリニックの調査では、20〜30代の人の割合は全体の7割以上を占めるとのこと。また女性の割合も2割弱まで伸びているそうです。

男性である程度年が行ってしまえば、勝訴湯薄くなったもしょうがないと思えるのかもしれませんが、まだ若い20代で薄毛になってしまうとそれからの長い人生を考えて、結婚に対する不安などを考えると容姿に強くインパクトの与える薄毛治療に積極的になるのかもしれません。女性も言わずもがなです。

 

実例1

40代自営業の男性Aさんは15年ほど前から洗髪時の抜け毛が目立ち、年々髪のボリューム感が減って行くのに気を病んでいました。もちろん、市販の育毛剤を使っていましたが効果が出ているのかどうかわかりませんでした。

そこで、Aさんは、病院でのAGA治療を開始しました。飲み薬と塗り薬による治療を開始して3〜4ヶ月で頭頂部に発毛がありました。1年後には今まですけて見えていた地肌が見えなくなり、精神的にすごく楽になったそうです。

1年8月でAGA治療を終了しましたが、精神的なストレスから解放されたからか、外交的な性格に変わり、今では結婚を前提に付き合っている女性もいるそうです。

 

実例2

50代主婦のBさんは薄毛治療の専門病院に行ったときにはすでに地肌が見えている状態でした。おそらく更年期以降の女性ホルモン量の変動の影響を受けた薄毛と考えられます。

当時Bさんはその薄毛から外に出るのも憂鬱で、一歩も外出しない生活を送っていました。カツラも持っていましたが、ふさぎ込んだ生活をしていたため、使っていませんでした。

薄毛治療を開始後、半年ほどで、本人も発毛効果を実感し始め、その後も順調に回復しました。その甲斐あって、外出もできるようになり、友人と食事をするなど人との交流にも積極的になりました。ごはんの味まで美味しくなったと言います。

 

こうした医療技術の発達や薄毛治療・AGA治療の認知拡大により、今や1千万人を超える人たちが薄毛治療の対象になり、その便益を享受できると考えられています。

 

薄毛の治療

薄毛には、大きく分けて2つ、①一時的な脱毛と、②進行する脱毛、の2種類があります。

①の一時的な脱毛とはストレスや薬と言った外的要因、円形脱毛症やひこう性脱毛、脂漏性脱毛もこれに含まれますが、基本的に原因となっている障害を取り除くことで改善が期待できます。実際、あるAGA病院では、「ストレスや生活状況を改善する事で、抜け毛の症状を抑えられるし、改善できる」としています。

一方、②進行する脱毛とは、一旦発症すると止まることなく進行してどんどん悪くなる脱毛のことで、加齢による脱毛や、AGAが含まれます。加齢による脱毛は、老化現象ですが、一般に人間の皮膚は25歳ゴロをピークとして段々と衰えて行くと考えられています。

こうした脱毛症による抜け毛や薄毛に対する対策としては、老化現象による薄毛の進行はある程度仕方がないが、一時的な脱毛やAGAには様々なプローチで進行を抑えたり、改善させる、というのが基本的な方針になります。

例えば、一時的な脱毛を引き起こす偏った食事からくる栄養状態の改善にはサプリメント、仕事や家事からくるストレスに対処するには心療内科的なアプローチ、積極的に発毛を狙うのにはミノキシジルという薬、AGAの進行を遅らせたり、ストップさせるにはフィナステリド・デュタステリドと言ったAGA治療薬で対処することになります。

この中で見慣れないかもしれませんので補足しておきます。心のケアです。

心のケアは薄毛自体がストレスになっていたりする場合もあるので実は対応が厄介だが、適切に対応できると、一気にAGA治療に対して前向きになったりする人も多いため、ないがしろにしてはいけない要素です。

 

 

参考文献

講談社「薄毛・抜け毛を直す」 小林一広、脇坂長興、武田克之著